Top Page >> 農薬散布の基礎知識

農薬のローテーションに関する基本的な考え方


バラ栽培で一番多くの人が悩んでいるのが、農薬散布ではないだろうか。
とりわけ、農薬のローテーションについては一度は悩んだことがあると思う。

御存知の通り、農薬は同じものを使い続けると「耐性菌」といって、その農薬に抵抗力を持った菌が生まれてしまうことがある。
これが蔓延してしまうと、もうその農薬は使えなくなる(効果がなくなる)。
そのため、農薬は数種類を交互に使う(ローテーションする)べきだというのが定説である。

知恵袋などの質問サイトやブログの記事などを観ていると「ダコニールとサプロールを交互に」とか「ダコニールを3回撒いたら、サプロールを3回撒く」のような記述を見かけるが、これはどちらも駄目の見本である

簡単に説明すると、
最初の例は、ダコニール散布で生き残った菌がサプロールで死滅できなかった場合、生き残った菌はダコニールを再度浴びるため耐性がつく可能性がある。同様にサプロールで生き残った菌は再度サプロールを浴びるため、耐性がつきやすい。

2つ目の例は、3回も連用すれば耐性が生まれる(次からその薬剤は効かなくなる)可能性が高い。次のサプロール3回でサプロールにも耐性がついて、晴れてダコニールもサプロールも効かない耐性菌を作り上げていることになる(というかサプロールは既に耐性を持った菌が蔓延しているという噂だし)。

こんな使い方をしていては、満足に病害虫対策が出来るわけがない。
というか、年を追うごとに農薬が効かなくなっていくだけである。

では、コンちゃんのローテーションはどうなのよってことになるが、コンちゃんのローテーションは以下のとおりです。

殺菌剤
ダコニール→ビスダイセン→サンヨール→サプロール→ダコニール→ビスダイセン→サンヨール→フルピカフロアブル→ダコニール→ビスダイセン→サンヨール→ベンレート→以下、繰り返し


殺虫剤
モスピラン→アファーム→スミチオン→アルバリン→ピレトリン→以下、繰り返し



殺菌剤の予防剤と治療剤

殺菌剤には大きく2種類があります。
予防剤と治療剤です。

予防剤は発病する前に散布すると効果がある農薬、治療剤は発症後に使用する農薬です。
治療剤は耐性菌がつきやすいため、連用は避け、更に予防剤と併用し使用回数を極力減らすのが効果的な使い方です。

上にあげたローテーション例では予防剤3種と治療剤3種のローテーションです。

ダコニール・ビスダイセン・サンヨールが予防剤。
サプロール・フルピカフロアブル・ベンレートが治療剤です。
予防剤3種→治療剤1種のローテーションです。

殺菌剤の系統

殺菌剤には予防剤・治療剤の区分とは別に「系統」という概念があります。
これは、殺菌剤の作用点がどのようなものであるかと示しています。

なぜこれが問題になるかというと、同じ系統の薬剤は同じような作用を与えるので、菌からすれば「似たような薬剤の連続散布」になってしまうからです。

系統には沢山の種類があって、全てを網羅するのは大変なので、バラ栽培でよく使う殺菌剤を系統別に並べておきます。

・予防剤
有機塩素系ダコニール1000フロアブルオーソサイド水和剤
有機銅系サンヨール液剤
有機硫黄系エムダイファー水和剤ビスダイセン水和剤

・治療剤
ベンゾイミダゾール系ベンレートトップジンM
EBI系サプロールサルバトーレMEラリートリフミンマネージ
アニリノピリミジン系フルピカフロアブル
炭酸水素塩剤系カリグリーンハーモメイト


これを見れば判るように、例えばサプロールとマネージの連用はNGですし、ベンレートとトップジンの連用もNGとなります。

コンちゃんのローテーションは、系統が重複していないことが理解していただけると思います。


殺虫剤の系統

殺菌剤と同様に殺虫剤にも系統が存在します。

主なものは
有機リン系・合成ピレスロイド系・ネオニコチノイド系・マクロライド系・BT剤・IGR系 など。

コンちゃんの使用農薬は

有機リン系スミチオン
ピレトリンピレトリン乳剤
ネオニコチノイドアルバリン顆粒水溶剤モスピラン液剤
マクロライド系アファーム乳剤

となります。

実際には、殺菌剤として散布しているサンヨールにも殺虫効果があり、これは他の殺虫剤と混用しないため、もう1系統が間に入っていることになります。

ネオニコチノイドが2種類入っているのは、ネオニコチノイド系には浸透移行性があり、効果が2週間程度続くためである。
また、ネオニコチノイド系は芋虫等大きめの害虫には効果が薄いため。
つまり、ネオニコチノイドの効果があるうちにもう1系統で一網打尽にしようという考えである。

そのため、ネオニコチノイドの間に有機リンやピレトリンなどの非選択性殺虫剤(要は何でも殺しちゃうよ系)を挟んでいるのである。

#有機リン系にも浸透移行性殺虫剤はあります。有名なのはオルトランですね。
##ネオニコチノイド系農薬でもアオムシ等に適用のある作物がありますが、これはバラに散布するのよりも高濃度での散布となり、非合法となるため行っていません。

ネオニコチノイド系を2種類入れているもう一つの理由が、次の理由です。


農薬の総使用回数について

農薬には使って良い回数が決まっています
それが「総使用回数」と呼ばれるものです。
これは、成分ごとに回数が決まっています
そのため、同一系統の薬剤であっても、成分が異なれば、各々総使用回数までは使用可能となります。

例えば、アルバリン顆粒水溶剤は「花き類 5回以内」、モスピラン液剤は「バラ 5回以内」となっているので、両方で10回まで使用できるということになります。
ただし、系統は一緒なので、連用すると耐性菌・耐性害虫を生むことになりますので、避けなければなりません。

先ほどの、コンちゃんの殺虫剤ローテーションでいくと

スミチオン6回
ピレトリン乳剤5回
アルバリン顆粒水溶剤5回
モスピラン液剤5回
モスピラン液剤5回
サンヨール8回

で、計34回散布が可能となります。

薬剤散布が4月~11月までの散布として35週。
うち梅雨時など雨で散布できない週が発生すると仮定して、これでギリギリの使用回数です。


農薬の混用について

混用とは、異なる成分の薬剤を混ぜて使用することです。
コンちゃんの場合は、殺菌剤と殺虫剤を混用して使っています。

混用については、混用事例集のある薬剤もありますが、無い薬剤のほうが多いと思います。
そのため、各自の責任で混用しなければなりません。
特に、酸性の薬剤とアルカリ性の薬剤を混ぜると有毒なガスを発生させるので、注意が必要です。
#洗剤の「混ぜるな危険」と一緒。

また、混用することにより薬害を誘発することもありますので、初めて混用する組み合わせの場合は事前に薬害の発生がないか確認してから、実際の散布にあたったほうが良いでしょう。

ただし、同じバラでも品種や温度等の環境により薬害が発生しやすい場合もありますので、注意してください。


最後に 農薬の適正使用について

農薬の使用については「農薬取締法」に従い、適正に行ってください。
また、住宅地での農薬使用については、農林水産省から以下の通知が出ており、各自治体が指導しています。
http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tekisei/jutakuti/pdf/20130426_jutakuch.pdf
これに準じて使用することを心がけてください。


・最後まで読んでいただき、ありがとうございます。






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水和剤・顆粒水溶剤の計量に便利です。 「ワンタッチ計量 粉末はかり 」&「ポケットデジタルスケール」


皆さん、大体1回の薬剤散布で何リッターくらい散布していますか?
コンちゃんは多い時で6リッターくらい散布しています。

株数が少ないうちは1L分づつ個包装されている箱入りの水和剤を利用することが多いと思いますが、株数が増えてくると使用量が多くなってくるので、経済的負担が大きくなってきます。

農家向けの100g入りなどの大袋入りと比べると、その割高感はとてつもなく大きいですよ。

例えば、
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容量は20倍もあるのに値段は2倍にも満たないという圧倒的なコストパフォーマンスですよ。

ただ、ここに1つ落とし穴があって、この水和剤をどうやって量ろうか・・・という問題です。

そこで、安価で大変便利なのがこれ。ワンタッチ計量 粉末はかり


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ご覧のとおりのシンプルな形状で使い方も簡単。
1g~30gまで量れます。

まあ、精度はそれなりですが、これで「薬害が出たよ~~」なんて経験はコンちゃんにはありません。

使い終わった後はサブサブ水洗いして終了という手軽さもとっても魅力です。

本格的にバラを栽培し始めると、どうしても散布量も増えますので、こういったものも揃えておいたほうが良いですよ。




追記

こんな記事を書いた後、つらつらとAmazon観てたら、デジタル秤でも安いのがあるんですね~~
流石アマゾン恐るべし・・・(笑)

携帯タイプ ポケットデジタル スケール(秤) 0.01~100g 業務用(プロ用)

0.01gから100gまで0.01g単位で量れるらしいです。
農薬の希釈に関しては、大体0.5g単位で量れれば問題ないので、十分な性能ですね。

結構バラ栽培好きの人って、偏屈(失礼)じゃなくて、拘る人が多いと思いますので、「キッチリ量りたいんだーー!」という人は、こっちの方が良いかもしれないですね。

評価を見てもそんなに悪くなさそうだし、コンちゃんも買ってみようかな~~。







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病害虫防除に対する考え




これは個人の見解です。
賛同されない方多数と思いますが、違法性がないのであれば批判はご遠慮ください

コンちゃんはバラを健全に育てるために農薬の使用は必要だと思っています。

所謂代替農薬(木酢液とかトウガラシエキスとか)も試したことはあります
が、満足の行く効果は得られませんでした。多少は違うのかもしれませんが。
#ちなみにトウガラシエキスの散布を辞めた理由は「これ目に入ったら痛いよね・・・」です。

米糠とか竹粉とかカニ殻とかも試したことはあります
肥料や土壌改良材としての効果はあると思います。

これらの資材を使用して、十分な効果を得ることは大変難しいことでしょう(ほんとは無理と言いたいところ)。

無農薬でバラを栽培していますという人が書いた本やHPも観ますが、確かに無農薬でもバラは育てられます
ただし、それで十分な生育が達せられているか甚だ疑問です。
病害虫で葉を落とした貧弱な枝や花で我慢しているだけじゃないの?というのが正直な感想です。
#ノイバラだけは無農薬ですね。防除一切なし。害虫はいっぱいいるけど、生育は順調。ただしカミキリムシとネキリムシは例外ね。
#ああ、しかも家のノイバラは無肥料でもあるな。要は放ったらかし(笑)

適切な薬剤散布に依って病害虫が抑えられた株は、十分な生育をします。
比べれば明らかです。枝葉も立派、花も大きい。

無農薬派の根底には「農薬=いけないもの」という刷り込みがあるように思えて仕方がありません。

実際は逆です。「農薬=使って良いもの」です。
メーカーが多額の費用をかけて検証し、農水省が国家の威信にかけて認定した使って良いものが農薬です。
まあ、無作為に使って良いわけではないので、適正に使用しないといけないわけですが、適正に使用すれば安全というお墨付きがあるのが農薬ということです。

そもそも病害虫防除のために農薬以外を使うことは違法です。

最近、次亜鉛酸ソーダを「安心・安全」的なフレーズで薦めている某バラ栽培農家がいます。
確かに次亜鉛酸ソーダは食品添加物として利用が認められているものなので、「適正に使用すれば」人体への影響はないでしょう。
でも、次亜鉛酸ソーダを使った一番我々に身近な製品といえば「キッチンハイター」です。
「私、農薬は危険だと思うから、庭の薔薇にはキッチンハイターを撒いてるのよ」
って、言ってるようなもんです。

こんなこと言い始めたら「エチルアルコール(エタノール)」だって食品添加物として使えます。

と言っていたら、「次亜塩素酸水」は2012年に「特定農薬」に追加指定されました。
特定農薬というのはチョー簡単に言うと、「まあ、普通に考えれば毒性はないから撒いてもいいよ」と「指定を受けた農薬」ということです。

ただし、認められたものは「塩酸又は塩化カリウム水溶液を電気分解して得られるものに限る」ので、それ以外の生成方法を取られたものは違法です。

あと良く使われる言い回しで「天然だから安全」というのがありますね。
まあ、普通に考えれば「トリカブトは猛毒(アコニチン)を含有している」とか「タバコのニコチンは猛毒」とかマトモな大人であれば知っている常識なわけで、単なる戯言であるのは明白なわけですが。

とまあこんな感じで、よくいる「無農薬派」の方々とは絶対に友だちになれません
なので、話し掛けないでもらいたいです。

ただし、大概の農薬には「危険性」がありますから、そこは十分に理解し、また過敏症の方も居ますし、子供には特に危険ですから、適正に使用しましょうねというのがコンちゃんの考え方です。

コンちゃんだって、農薬撒くのは好きじゃありません。気を使うし、面倒くさいもん。





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